施設整備の基本的な考え方
- 県庁の災害対策機能の拠点となる事業継続性に配慮した庁舎
- 愛媛県のDX 推進に向けた官民共創と新しい働き方を推進する庁舎
- 省エネルギーと木材活用による環境に配慮した庁舎
- 松山城に隣接する立地や既存県庁施設との調和や景観に配慮した庁舎
- 機能的で全ての人が使いやすいユニバーサルデザイン庁舎
敷地概要 | |
---|---|
地名 | 愛媛県松山市一番町四丁目4番地2 |
敷地面積 | 25,305.67㎡ |
用途地域 | 商業地域 |
建蔽率 | 80% |
容積率 | 600% |
周辺道路 | 南側 国道11号線 全体幅員30m |
防火地域の指定 | 防火地域 |
建物概要 | |
---|---|
名称 | 県庁第二別館 |
構造 | S造(地下1 階柱頭免震)+CLT 耐震壁 |
階数 | 地上11 階+ 機械フロア/ 地下1 階 |
最高高さ | 51.5m |
延べ面積 | 14,255.36 ㎡ |
(耐震安全性の分類) | |
構造体 | I類 |
建築非構造部材 | A類 |
建築設 | 甲類 |
県庁の災害対策機能の拠点となる事業継続性に配慮した庁舎
■災害に対する考え方
- 「防災オペレーションルーム」を3 階に設置し、第一別館3 階の防災フロアと連絡通路により回廊型に接続し、第一・新第二別館の3 階フロア全体の一体的運用により防災機能の強化を図ります。
- 本計画地は最大で2m の浸水被害が予測されているため、災害対策機能の拠点となる事業継続性に配慮した庁舎として計画します。
- 電源喪失対策として2 回線受電方式の採用、非常用発電設備、高圧電源車接続口を備えた設計となっています。
- 電気室を最上階に設置します。
- 免震装置を地下1 階の柱頭部分に計画し、1 階以上の建物を免震建物として計画します。
- 本建物は崖地に隣接して計画されており、敷地が土砂災害防止法に基づく土砂災害特別警戒区域の指定地内であるため、土砂による荷重を考慮した設計となっています。
愛媛県のDX 推進に向けた官民共創と新しい働き方を推進する庁舎
■官民共創・新しい働き方を推進する庁舎の基本方針
- ポストコロナを見据え、オンライン会議を始めとする様々な業務の進め方に対応できるエリアを低層階に整備し、産学官が共同で利用する「官民共創拠点」として活用することにより、全国に先駆けたDXの推進や地域経済の活性化に取り組みます。
- 1 階は「交流・共創・セミナーゾーン」、「Co-Work ゾーン」とし、コワーキングスペース等、官民共創のスペースとします。
- 2 階は「集中ゾーン」、「DX プロジェクトゾーン」とし、集中して作業が行えるスペースや、Web 発信のスタジオ等を計画します。
■2025 年に向けたデジタル環境の検討
デジタルインフラ構築 | 既存インフラとの連携 リモートアクセス手段/Wi-Fi |
デジタルツール導入 | コミュニケーションツール、Web会議、プロジェクト管理サービス、 課題トラッキングシステム等 |
入退館認証 | ICカードやQRコードを使用した認証 (職員用、民間用、一時利用等) |
会議室システム | 会議室予約システムの導入 会議室ドアに予約スケジュールの表示 |
施設管理(BEMS) | ビル内エネルギー制御 センシングによるビル内情報の収集・分析 |
省エネルギーと木材活用による環境に配慮した庁舎
■省エネルギーな庁舎
- 建物を高断熱化し外皮性能を高めることに加え、電気、機械設備計画において高効率な省エネルギー技術を採用します。
- 基準一次エネルギー消費量から50% 以上削減したCO₂排出量の少ないZEB Ready を達成し、ZEB 庁舎を実現します。
■環境配慮型庁舎
- 屋上に太陽光パネルを設置し、庁舎で利用される電気エネルギーを補い、環境に配慮した庁舎とします。
- CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)と呼ばれる構造用の木材を耐震壁として各階の南北面を中心に使用し、地震時の水平力を10%~15% 程度負担するほか、温かみのある庁舎とします。
- 雨水を利用する雨水貯留槽を設け、水資源の有効利用を図ります。
- 電気自動車(EV)用の急速充電気を整備し、EV 普及促進にも取り組みます。
松山城に隣接する立地や既存県庁施設との調和や景観に配慮した庁舎
■外観デザインの基本方針
機能的で全ての人が使いやすいユニバーサルデザイン庁舎
■ユニバーサルデザイン庁舎の基本方針
- 障がいのある方や高齢者、妊婦、乳幼児を連れた方など、誰もが利用しやすく、安全で快適に過ごすことができるユニバーサルデザイン庁舎とします。
- 来庁者動線を建物西側で集約し、利用者に分かりやすいユニバーサルデザインな配置計画とします。
- サイン計画には一目で認知できるピクトグラムを採用します。
- バリアフリートイレは車椅子利用者にも余裕のある広さを設け、大型ベッドを複数階に配置しています。
- バリアフリートイレ、男女トイレ内にオストメイト、ベビーチェア、ベビーベッドを分散配置します。
- 渡り廊下接続部分の見直し等により既存庁舎との高低差を解消し、来庁者の円滑な移動に配慮します。
基本設計時からの変更点
当初案では、地下1階の職員用駐車場への経路を歩車分離が容易な第二別館北側に計画していましたが、車路への土砂流入による被害の回避、軽減を第一に考え第二別館南側に設置しました。
車路を第二別館南側に計画することで第二別館北側の既存駐輪場を残し、急崖に対する影響を最小限にとどめる計画としています。